
その昔、ある有名プロボクサーがテレビ番組の取材でこのようなことを言っていました。
Q. ○○選手は圧倒的な強さを誇っていて余裕さえ感じますが、
なぜそこまでのトレーニングを繰り返しているのですか?
A.怖いからですよ。負けることが。だって負ければすべてを失うわけですから。
確かにボクシングというスポーツは、他のスポーツに比べ、
リスクの高い競技だと思います。
世界戦だと12ラウンドで試合をします。
有利に試合を展開して、途中のラウンドで数回ダウンを奪って、
ポイントで圧倒的に有利な展開だとします。
しかし一発のパンチで、もっと言えば、こぶし一つの差で相手のパンチが当たることで、
大逆転が起こる競技だからです。
野球であれば、4点差は満塁ホームランがでなければ、
一気に追いつくことはできません。
サッカーですと、どんなロングシュートが決まろうとも、
1点であることには変わりはありません。
ですから、このボクサーは細心の注意を払いながら、
またそのイメージも想定しながら、普段のトレーングに励んでいたのだと思います。
人間の体はどうでしょう。
不摂生を積み重ねていくにしたがい、少しづつ体の状態が悪くなることは
実感できません。
このようなことが実感できれば、分かりやすいのかもしれませんが、
長年の積み重ねで、ある日突然、体に異変が襲ってきてしまうケースが多いでしょう。
老朽化した建物に近いイメージかと思います。
想定外のことが体に起こると、自分自身だけでなく、
家族も急な変化を求められることになってしまいます。
介護のために退職をしたり、正社員で働くことは断念し、
短時間の勤務に変更することになってしまいます。
当然、経済的かつ精神的な損失が起きてしまうのです。
これからの日本、絶対に避けなければならないのです。
ということは逆に言うと、日常生活からこつこつと
積み上げていくことが求められていきます。
健康・医療の分野では、一次予防という考え方があります。
病気にならないためにどのように取り組むか。
禁煙、大量の飲酒をしない、運動、バランスの良い食生活、
ストレスを軽減すること、しっかりと休息をとるなど。
まさに自分自身の体に対して、失点をさせないこと、
逆転KO負けにならないような努力が求められるのです。